活用実績が見えない「IGS」
政府の情報収集衛星(IGS)は大規模災害への対応も運用目的に掲げられているが、東日本大震災において、同衛星の活用実績が見えないことから、防災の専門家からは「もっと活用すべき」との声が上がっている。
枝野幸男官房長官は
利用できるものは利用している
と、強調しているものの、その具体的な内容については「国家機密」ということから、説明がなされていない。多大な予算を投じた、情報収集衛星に対し、一部から疑問の声があがっている。
大災害時には利用できるように
情報収集衛星(IGS)は、北朝鮮のミサイル発射などをうけ、2003年に打ち上げられて以来、総額7000億円もの予算が投じられ、事実上の偵察衛星として機能している。東日本大震災のような、大規模災害では、広い範囲の観測が可能な、人工衛星からの画像が重要になる。
東日本大震災では、宇宙航空研究開発機構の衛星「だいち」や、福島第1原発事故に関して、米国の商業衛星が画像を提供し活躍しているが、情報収集衛星(IGS)の画像は災害時においても非公開となっている。
情報収集衛星(IGS)利用について、衛星の災害時の利用に詳しい、東京工業大学大学院の翠川三郎教授は
衛星の軌道などはすでに知られている話。公開のデメリットもあるだろうが、この大震災でまったく情報が出てこないのは不思議
と、指摘した上
公開についてのルールを議論し、被害が甚大な時は利用できるようにしてほしい
と、述べている。
内閣調査室「情報収集衛星について」(PDFファイル)
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/igs.pdf時事ドットコム『情報衛星、貢献見えず=災害対応も機密の壁-専門家「公開、活用を」』
http://www.jiji.com/(トップページへのリンク)