原発に代わる「地産エネルギー」としての普及を目指す
民間非営利団体(NPO)「赤目の里山を育てる会」(三重県名張市:以下同会)では、間伐材などを利用して製造する固形燃料「木質ペレット」の普及を目指している。福島原発事故を受け、地産エネルギーの役割が高まっている中、今後、林業の振興と障がい者の自立を図る同会の取り組みに注目が集まりそうだ。
とってもECOな「木質ペレット」を一般販売で障がい者の工賃UPへ
同会では6年前に木質ペレットの小型製造機を導入。管理する約200ヘクタールの里山から出る古枝などでペレットをつくってきた。主な使用先は限られており、同会が拠点をおくペンション「エコリゾート赤目の森」と、併設して運営を行っている高齢者福祉施設「デイサービス赤目の森」のみであった。
財団法人日本船舶振興会(日本財団)の助成を受け、製造拡大へ高性能な新型製造機を480万円で購入。従来の10倍以上、1日300キロ以上の木質ペレット製造が可能になった。販売価格は1キロ40円前後。同会の運営する施設外にも供給できる見通しが立ったことから、一般への販売に新たに取り組むこととなった。
障がい者の就労支援施設「赤目の森作業所」が製造工程や袋詰め作業に当たっている。今後需要が増えていけば、作業にあたる障がい者へ払う工賃も増やせる。施設の利用者に月16,000円以上の工賃を出すことが同会の目標だ。
気になる環境への影響は?
木質ペレットを燃やした際に発生する二酸化炭素の量は、木が成長する過程で取り込んだ量と同じという。石油に比べて環境への負荷が少ない木質ペレットの普及が、衰退の危機にある林業の振興にもなると期待されている。
バイオマスタウン構想を進める名張市は今年度、固形燃料を使うストーブ2台を庁舎に設置する予定しており、同会では名張市に木質ペレットの買い取りを要望。伊井野理事長は、市役所に限らず、地域内の家庭でも普及を目指しており、「エコな名張づくり」の一翼を担いたいと意欲的である。
エコなリゾート 赤目の森名張市公式ホームページ