凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)は、電子ペーパーによる博物館向け多言語対応解説パネル・システムを開発したことを発表した。
同パネル・システムは、日本語の解説を印刷した台紙に、英語・中国語・韓国語の解説が自動的に切り替わって表示される“電子ペーパーディスプレイ”を組み合わせたというもの。
今回、電子ペーパーの特長である反射型で非発光の表示や、省電力で高精細な文字表示が可能になったことにより、日本語での情報表記に加え、外国語3言語による情報提供を、展示環境に影響を与えることなく実現したとのこと。
なお、同パネル・システムは、2011年3月29日から9月30日まで、東京国立博物館の平成館考古展示室に試験設置されており、博物館施設の解説パネルとしての電子ペーパー活用は、国内初の試みとなる。
従来から、博物館や美術館などでの多言語での情報提供手段は、翻訳したパネルを並べて配置したり、液晶ディスプレイを設置するなどの方法があったが、限られた設置スペースの中での表示の煩雑さや、液晶ディスプレイの光の反射が、鑑賞の妨げになることもあったようだ。
美術館での音声ガイドや、歌舞伎鑑賞には必需品とも言えるイヤホン解説など、「文化」を理解してもらう工夫は、ある意味供給過剰な面も否めない。今回は、自ら考えやすい解説パネルに関するサービスの話で、ひとりで使うものよりも、大勢で使う場合に、使い減りのしない電子ペーパーは現時点では最適のツールであろう。訪れた人々が受け入れやすいサービスの提供により、展示品を「見る目」も温かなものとなるだろう。
凸版印刷株式会社リリース