陪審員のバックグラウンド
米国の陪審員選定方法に変化が表れている。従来ならば、候補者から陪審員を絞りこむ際に、偏見などの有無を探るため、検察官や弁護士が予備尋問を行うが、その際、候補者のフェイスブックなどを参考にするケースが急増しているという。
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オレゴン州の殺人事件の裁判において事件を担当した弁護士は、陪審員選定時に、候補者が事件についてどう感じているのか、フェイスブックを通して推察したという。
ネット上の人格と本来の人格
だが、法律の専門家は、こうした傾向が増加しているのに関し、状況や環境が介在しないネット上のコメントなどから得た情報より、従来の予備尋問で得た情報の方が信頼性が高いのではないか、として警鐘を鳴らしている。
カリフォルニア大学バークレー校ロースクールのJason Schultz氏はこう語る。
(ネット上では)実際の自分ではなく、こうありたいと願う人物像を作り上げているユーザーも少なくない。
原告側の弁護人だけが裁判にパソコンを持ち込んだ際、弁護側に対して公正ではないとして、裁判官が原告側のパソコン使用を禁じたケースもある。
離婚裁判においても、フェイスブックへの投稿から相手側の行動などを探って、毎月の扶養料をつりあげる材料にする弁護士などもおり、ソーシャルメディアは裁判制度にも深く影響を及ぼしているようだ。
米国版『ウォールストリートジャーナル』弁護士 陪審員選定にフェイスブックから情報を収集