「大容量光メモリ」の実用化研究に宇大が
宇都宮大学が4日、超大容量・超高速・長期安定性を備える記憶媒体「大容量光メモリ」の実用化研究に着手したと発表した。
科学技術振興機構(JST)の戦略的イノベーション創出推進事業に採択され、10年後をめどに記録容量が市販ブルーレイディスク(50ギガ)の60倍に上る3テラ(1テラ=千ギガ)バイト級の大容量ディスクの実用化技術確立を目指すとのこと。
光ディスクの特性と狙いは?
光ディスクは、光を使って情報を読み書きする記録媒体で、記録層にレーザー光を当て、屈折率を変えてデータを書き込む方式である。サーバーやコンピューターに使う磁気ディスクに比べて読み書き速度は遅いものの、データ保存時のエネルギー消費量が少なく寿命も長いという。
開発目標は、10年かけて記憶容量が3テラ、データ転送速度は毎秒3ギガ、データ保持寿命10年以上を目指すとのこと。
同大は、大容量を記録できるポリマー素材の開発と、その素材の性能評価用として、情報データを3次元的に読み書きする超高速の記録システムを研究しており、オプティクス教育研究センターの谷田貝豊彦センター長をトップに産総研、東大、
新日鉄化学、
パルステック工業の研究者15人で進めている。
今後の計画は?
各自の研究成果を発展させ新産業創出にもつなげるとし、予定では今後7~8年は毎年国から1億円が交付され、最終段階では企業資金なども受け入れるマッチングファンド形式とするとのこと。
なお同大は、キヤノンの支援を契機に産学連携による光学分野の人材育成を図ろうと07年に同センターを開設、昨年10月に約4億円で同センター棟を建設しており、この12月にはJSTの整備事業で、光研究の成果を産業界に橋渡しする実用化研究用の機器設備(5億円)の導入も決定している。