ベンチャーの京セラを世界的な企業に
会社更生法に基づきJAL再建を託された稲盛和夫氏。 最初は社員8人で京都セラミツク(現・京セラ)を設立し、10年後に株式を上場してファインセラミックスの技術で世界的な企業に成長させた。
ベンチャーの京セラを一代で大企業に育てたカリスマ経営は有名で、昭和34年に立ち上げた町工場を連結売上高1兆円超でグループ従業員5万9千人のグローバル企業に育てたばかりか、59年には電気通信事業の自由化を受け、第二電電(現KDDI)を設立、NTTに次ぐ大手通信会社に成長させている。
経営改善に有効な「アメーバ」
その経営手法は独特で、京セラのバイブル「稲盛経営12カ条」には、公明正大、思いやりの心など、心のあり方を説いた項目が並んでいる。また、社員を10人程度の小集団に分け、各集団を独立採算で運営する「
「アメーバ」経営」と呼ばれる手法で成長を実現している。
京セラが急速に発展した理由は、稲盛氏自身も言うように、経営者意識を持つリーダーを多数育て、これが機能したからと言えなくもない。「アメーバ」活動には、利益追求とともに人材育成の効果があるのだ。
全員参加型経営
「アメーバ」経営では、各アメーバのリーダーが中心となって計画を立て、全員の知恵と努力により目標を達成していくことで、現場の社員ひとりひとりが主役となり、自主的に経営に参加する「全員参加型経営」を実現している。
また、「アメーバ」毎の経営の内容が日々正確に把握できることで、経営がガラス張りで迅速さ持つとともに、社員全員に経営意識が浸透するのである。
そして稲盛氏が手がけた会社のみならず、コンサルティングを受け「アメーバ」経営手法を採用した企業は数百社に上るという。
LAL 再建で稲盛氏に最も期待されるのが、社員の意識改革。"親方日の丸”の甘えが染みついた日航社員の意識を、いかに改革できるかが再生のカギとなる。