観光は日本経済の成長の一翼を担う産業と…
このほど、日本経済団体連合会 は「観光立国を担う人材の育成に向けて~産学官の連携強化を」という提言を公表した。
グローバル化、資源・環境制約、少子化・高齢化、ICT化の進展などにより、産業構造は大きな再編成・転換の時期を迎えており、わが国経済が持続的に発展するためには、製造業の国際競争力の維持とともに、成長が見込まれる産業の育成に傾注しなければならない。
そのひとつが、大きな経済波及効果と雇用吸収力を持つ観光産業と位置づけ、政府および経済界は、観光を日本経済の成長の一翼を担う産業と明確に認識し、戦略的に発展させていかなければならないとする。
実効ある観光政策推進には人材が不可欠
しかし一方、観光分野で必要な人材の多様化が求められており、大学の観光系学科も増えてはいるが、実際に観光関係分野に就職した割合は四分の一以下で、企業の求める人材が必ずしも育成されていず、人材供給のミスマッチが生じている。
この解消が急務で、このために実効ある観光政策の立案および業界の高度化を推進できる人材の育成が不可欠という。
具体的な方策提言として、「地域の専門家を育てる教育の拡充」「自治体等によるインターンシップの拡充」「企業の経営・実務人材を育てる教育」「観光専門職(仮称)の創設」「地域における人材交流」「通訳案内士制度の改善」「観光学部・学科と業界の協力」「アジア人留学生の活用」などを掲げている。
また地域に密着し、その地域の観光資源を発掘して観光振興を行う人材を育成・活用できる仕組みの充実と、マネジメント力、企画力、行動力のある経営系人材、実務人材の育成が重要としている。
地域の産学官連携で「観光立国日本」を!
さらに、企業・行政・地域住民の一人ひとりが新しい発想・アイデアで潜在的観光資源を発掘することで、日本の観光力を高められる。次世代の観光の担い手を育成するため、子どもの頃から教えていくためのカリキュラム・教材の工夫に早急に着手すべきという。
こうした人材の育成は避けて通れない道であり、観光における産学官連携をより強固なものとして、「観光立国日本」への架け橋となることを望むとして結んでいる。
これらは、2008年秋に設置された
観光庁の正に出番であり、その成果が問われる内容と言えそうだ。
「観光立国を担う人材の育成に向けて」 日本経済団体連合会