早めの修理で大きな損傷を防ぎコストも節約
ZF Friedrichshafen(以下、ZF)は6月9日、同社アフターマーケット部門による、クラッチの故障したレリーズシステムを修理する時に使用するSachsコンプリートキットについて紹介した。
商用車のクラッチは、作動時にレリーズフォークを使用すると、フォークやシャフト、ベアリングに大きな負荷がかかり激しく摩耗する。この状態が長く続くと、片側クラッチとなったり、完全にレリーズできなくなったりする可能性があり、その結果、ベアリングの摩耗やシフトの問題が増える場合もある。
レリーズシステムが正しく機能することは、ZFのAS Tronicなど自動マニュアルトランスミッションが故障なく操作されるためにも不可欠であり、機能不全は長期のダウンタイムにつながり、コストが高くなる。
こうしたことから、ZFの商用車修理工場では、そのような誤作動の最初の兆候が見られた時に修理工場に来るように、顧客に周知させる必要があると考えている。
レリーズシステムの問題が原因である場合、比較的迅速に安価で修復することができ、これにより、結果として生じる損傷を防ぐことも可能である。
専門家が様々なポイントを確認して修理
レリーズシステムの損傷に関して、ZFアフターマーケットの専門家は、2つの基本的なタイプに区別している。
1つ目は、クラッチレリーズベアリングの位置合わせが中心からずれていることである。
歪曲もしくは摩耗したガイドスリーブやレリーズフォークは、位置合わせの中心がずれ、ダイヤフラムスプリングの作動が不均一になる。その結果、ダイヤフラムスプリングと圧力プレート間の接触点で不均衡な摩耗が生じる。
圧力プレートのルーフピッチが摩耗しているため、薄膜ばねの軸方向の位置が変化する。その場合、ペダルの力が不十分になり、クラッチがスリップすることとなり、レリーズとクラッチの故障につながる。
2番目は、レリーズシステムのコンポーネントが摩耗していることである。
注意しなければならないのは、レリーズフォーク自体と、レリーズフォークとレリーズシャフトの接触面である。これらのいずれか乾燥、歪曲、摩耗、または破損している場合、作動機構に問題が生じ、その結果、クラッチの噛み合わせや分離の不具合、クラッチの動きの悪さにつながる。
レリーズする力が不足しているため、レリーズシャフトを手動でチェックするだけでは不十分であり、目視検査により明確な評価が可能となる。
修理の際は、レリーズフォークが傾斜しないように、組み立て手順に従って作業することが重要である。摩耗の最初の兆候として、クラッチ操作が困難になる場合や、レリーズ経路の短縮や分離ができないこともある。
傾斜によりダイヤフラムスプリングの力が無効になり、少し走行しただけでもクラッチがスリップし始める。
(画像はプレスリリースより)
ZF Friedrichshafen Press Releases
https://press.zf.com/press/en/releases/release_16962.html