県と上山市、大学、公社が協定を締結、連携によるシナジー効果に期待
山形県は3月1日、近年深刻な問題となっている空き家の増加などに対応すべく、上山市、東北芸術工科大学、山形県すまい・まちづくり公社の4者で連携協定を締結することを決めたと発表した。協定の締結は7日、16:40から山形県庁501会議室で行われる予定となっている。
今回4者が締結するのは、空き家などの活用による「地域づくり連携協定」。急速な少子高齢化と人口減少が進む地方の市町村で、増加が顕著な空き家物件を魅力ある資産として再生させ、若年層やファミリー世帯などの移住・定住を促進させることを目指す取り組みの推進が目的だ。
賑わいを創出し地域の活性化を図るほか、老朽化して周囲の住環境へ悪影響を及ぼす懸念をもたらすものとなっている空き家を解消させ、より暮らしやすい地域づくり、安全・安心のまちづくりを進めるとしている。
増加する空き家への対策は喫緊の課題となっているが、現状では空き家問題のみならず、人口減少に伴って発生するさまざまな課題に対し、対処できるだけのノウハウや人材を有する市町村はごくわずかで、多くがその不足に悩んでいる。
また、放置された空き家の発生を抑制しようにも、もともと不動産市場そのものが小さい町村部などでは、民間事業者による取引の活性化が進みにくく、需給のバランスが崩れて空き家が発生してしまいやすい。本来は良質な住宅ストックとなり得た物件も、その適切な供給・活用が促進されなければ、空き家となって寂れ、地域コミュニティやインフラの維持を困難なものとしてしまう。
それぞれの強みを活かした役割展開で新たな地域づくりを!
そこで、こうした悪循環や単独では対応困難な地域の諸問題について、山形県と上山市、東北芸術工科大学、山形県すまい・まちづくり公社は、連携協定をもとにそれぞれの強みを活かした役割を展開し、良好な地域づくり、地方創生の取り組みを進めていくこととした。
具体的には、まず山形県が空き家対策全般について、市町村や関係団体への助言・情報提供を行うほか、それら各所の調整役を担う。これに対し上山市は、市内の空き家所有者における意向と空き家の利活用を希望する人の情報を把握し、県との情報共有を図るほか、公社や大学と協力関係を結んで対策を進める。
東北芸術工科大学では、新しい観点での空き家活用方法を提案したり、実際の物件における再生モデルを構築するなど、研究活動としてフィールドワークを進めたりすることを予定している。また同大学と山形県すまい・まちづくり公社は、委託契約を結び、まちの再生支援事業や空き家買取再販事業を進めていくという。
こうした4者の連携により、総合的な空き家対策に関するノウハウが蓄積されることが期待されるとともに、空き家の再生を機とした地域コミュニティの活性化、民間事業による自律的な空き家の活用促進が促され、持続的な発展が実現されると見込まれる。
事業の実施も、一方的なものではなく、市町村の意向をくんだものとなることから、より現実的かつ望ましいまちづくりが進むこととなるだろう。
なお3月7日の協定締結式終了後には、4者連携で進めている空き家リノベーションプロジェクトの紹介も行われる予定となっている。今後の展開に期待したい。
(画像は報道発表添付資料より)
山形県 報道発表資料
http://www.pref.yamagata.jp/山形県 報道発表添付資料 協定の概要
http://www.pref.yamagata.jp/