シールド工事掘削時の砒素汚染土の浄化技術を確立
大成建設は10月16日、シールド工事で発生する汚泥を現場で浄化する技術を開発したと発表した。
わが国の土壌には人に有害な砒素など、自然由来の重金属を含む地盤が広く分布している。このため、シールド工事で掘削した泥水中に、砒素を含む汚泥が大量に発生することがある。
汚染された汚泥はセメント原料に使われたり、埋め立て処分されたりするが、大断面や長距離に及ぶシールド工事では膨大な泥水が発生するため、現場で処理して再利用することが求められている。
この課題を解決するために、大成建設はシールド工事現場で利用する泥水処理施設に砒素汚染泥水浄化装置を取り付け、泥水に含まれる砒素を除去する装置を開発した。この装置を1か月間シールド工事現場で使用したところ、泥水から安定して砒素が除去できることを実証した。
鉄粉で砒素を吸着させて抽出・分離
大成建設はこれまで、汚泥の再利用を可能にするために、鉄粉を砒素汚染泥水に混ぜ込んで砒素を鉄粉に吸着させ、分離・回収する「磁選技術」の実用化に向けた取り組みを進めてきた。
そしてこの度、磁選技術を組み込んだ砒素汚染泥水浄化装置をシールド工事の泥水処理施設に採用し、約1か月にわたって、約1,200立方米の泥水を処理した。
その結果、泥水から安定して砒素を除去することが確認ができた。また、既存の処理施設に比べ、10%以下の面積に設置できるようにし、省スペース化を達成した。
(画像はプレスリリースより)
大成建設株式会社のプレスリリース
http://www.taisei.co.jp/