93人以上の女性従業員に影響
米労働省は1月18日、米国内最大の金融機関の一つ、JPモルガン・チェースに対し、特定の職位で体系的な男女賃金格差があり、同社の賃金方針および慣習が大統領令11246号に違反しているとして、1月17日付で同社を提訴したことを明らかにした。
この賃金格差は、米労働省のOFCCP(Office of Federal Contract Compliance Programs、連邦契約遵守プログラム事務局)の調査により明らかにされたものである。発表によれば、2012年5月15日以降、少なくとも93人の女性従業員の賃金が、正当な要因を考慮した上でも、男性より低くなっていたという。
OFCCPが是正を求めるも
訴状によれば、OFCCPは2015年3月12日、コンプライアンスレビューにおいて明らかにされた違反、そしてそれを解決するための是正処置を定めた通知を発行した。
さらに2016年4月1日、OFCCPはJPモルガン・チェースに対し、上記で示された違反に関して、執行手続きの猶予理由の提示を求める通知を発行した。
このような努力があったにも関わらず、JPモルガン・チェース側では是正処置が行われなかったため、OFCCPは自発的な問題解決は難しいと判断し、提訴の運びとなった。
大統領令11246号で雇用差別を禁じられている
米国では、1965年の大統領令11246号で、人種、宗教、皮膚の色、出身国に基づく雇用差別を禁止している。OFCCPが設置されたのも、この大統領令に基づいている。
なお大統領令11246号に関しては、性別に基づく雇用差別の禁止を明記する大統領令11375号など、いくつかの修正令が出された。最近ではオバマ政権下の2014年に、差別禁止の対象として、さらに「性的指向、性自認」を追記する旨の、大統領令13672号が発行されている。
(画像はアメリカ合衆国労働省サイトより)
アメリカ合衆国労働省
https://www.dol.gov/newsroom/releases/ofccp/ofccp20170118