認知症に関わる4団体が提言
日本認知症学会、日本神経学会、日本神経治療学会、日本老年医学会の4団体は6日、今年3月の改正道路交通法の施行に向けて、認知症を患う高齢者の安全を守るための提言を行った。
認知症を患う人たちやその家族が孤立しないためにも、自動運転システムの開発などといった自家用車以外での移動手段の確保や、初期認知症患者の運転免許取り消し基準を見直すように求めた。
具体的には、免許証返納後の安全な交通網の保障を謳った上での運転免許証の自主返納の促進と、運転能力の適正判断基準の整備を提言し、早急な対策を検討するよう政府関連機関に呼びかけた。
初期認知症患者の運転免許取り消し基準見直しを
過疎地域における公共交通機関網の縮小が後を絶たず、高齢者が車を運転せざるを得ないことが多い。
認知症が進行すると、交通事故を引き起こすリスクが増加することが明らかであるため、現時点においては、医師から「認知症の診断」を受けると、運転免許証が取り消される。
しかし、一般の高齢者とごく初期で軽度の認知症患者との違いは明らかにされていないため、医学的判断だけで免許取り消しになることに対して、認知症学会らは疑問を呈している。医学的判断だけでなく、実際の運転試験などを通じて、専門家が運転免許取り消しの是非を判断する必要があると提言した。
生活の質を保障した上で、免許証自主返納促進を
また、公共交通機関網が縮小した地域においては、病気等を理由に運転免許証を自主返納した人の生活範囲の縮小し、買い物が不便になるなど、生活の質が低下する状況が少なくない。
そのため、自家用車以外で安全に移動手段が確保できるよう、自動運転システムの開発と、その利用負担の軽減を求めるとともに、そうした生活の質を保証した上で運転免許証の自主返納を促進する対策の構築を提言した。
今回の提言で、認知症の人やその家族が地域社会から孤立しないためにも、政府や関連省庁が横断的に対策を構築することで、認知症患者を含む全て日本国民が安全に過ごせる地域社会づくりを目指す必要があること考えを強調している。
(画像はPixabayより)
日本認知症学会
http://dementia.umin.jp/index.html提言内容:
http://dementia.umin.jp/pdf/doukouho_teigen.pdf