独自のアルゴリズムを用いた研究で
カナダロイヤル銀行の保険部門(以下「RBC保険」と略)は、LTD(長期就業不能)の発生率は、GDPの周期的な動きにともなって上下するという研究結果を発表した。経済が成長し、GDPが上昇すると、LTD保険の給付金請求発生率が高まり、GDPが低下すると、請求の発生率も低下するという。
RBC保険副社長のJohn Carinci氏は「我々は長い間、LTD請求発生率の季節的傾向については認識してきたが、GDPの動きに連動していることは新たな発見だった」と述べている。
この調査研究には、RBC保険の顧客30万人以上のデータを使用し、6年間を費やして開発した独自のアルゴリズムが用いられた。
GDPに連動する原因は?
この研究結果は、多くの人が考えていることとは対照的なものとなった。RBC保険は、この現象の原因について、アドレナリンの作用を例に上げて説明している。アドレナリンは、恐怖などのストレスに抗うために分泌される物質で、痛覚を麻痺させるなどの作用がある。
RBC保険は、経済が厳しい、もしくは不安定な時期には、労働者は雇用の安全性と業績を心配して、精神的・生理的ストレスが顕著になり、人体におけるアドレナリンの作用に似た、LTDに陥らないための力が働くのではないか、と考えている。
そして、GDPが上昇し、経済見通しが明るくなるにつれて、労働者はより安全に感じ始め、ストレスに抗う力を失うため、LTD発生率が高まる、と説明している。
2年先までのLTD発生率が予測できる
RBC保険は、2年先までのLTD発生率の予測ために、開発した独自アルゴリズムと同社の経済予測を用いるとしている。
またこの予測を用いれば、企業は、コスト管理、人員確保、従業員へのより良いサポートに役立てることができるとしている。
(画像はRBCニュースリリースより)
Multi-year RBC Insurance research shows long term disability claims linked to GDP
http://www.rbc.com/newsroom/news/2017/20170111-ins-ltd.html