先天性脊椎後弯や肋骨形成異常の原因となる遺伝子
京都大学(以下、京大)は2月17日、先天性脊椎後弯や肋骨形成異常の原因となる遺伝子を発見したことを発表した。
脊椎後弯は、背骨が横に曲がる疾病で、進行すれば重大な障害が生じることも多い。
生物の脊椎骨形成や肋骨形成には、Hox遺伝子群が適切な時期に適切な場所で働くことが必要であることがわかっており、その適切な時期が来るまでH3K27me3が抑制することが知られている。
しかし、このH3K27me3を外す役割を持つタンパク質がどれなのかは不明だった。
Jmjd3が脊椎後弯や肋骨の異形成に関与
そこで、京大は可能性の考えられるヒストン脱メチル化酵素のUtxとJmjd3がそれぞれ欠損したマウスを作製したところ、Utx欠損マウスには明らかな異常は認められなかったが、Jmjd3欠損マウスでは、脊椎後弯や肋骨の異形成が認められたという。
また、Jmjd3欠損マウスにはHox遺伝子群の発現が正常マウスと比較して遅れていることも明らかとなった。
このことから、京大は脊椎骨形成や肋骨形成には、Jmjd3がH3K27me3を外すことが必要であることが考えられるとして、Jmjd3がヒトの先天性脊椎後弯や肋骨形成異常を起こす役割を明らかにすると共に、Hox遺伝子群以外の遺伝子の発現を制御する可能性についても研究を進める予定。
(画像はプレスリリースより)
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