シナプスの微細な3次元構造を解析
理化学研究所と金沢大学および科学技術振興機構は、3月11日、生体組織深部の超解像イメージングを可能とする新しい組織透明化試薬「SeeDB2(シーディービーツー)」を開発したと、共同で発表した。
「SeeDB2」と超解像顕微鏡注を用いて、マウスやショウジョウバエの脳の蛍光イメージングを行うと、シナプスの微細な3次元構造を大規模に解析できるという。
困難だった生体試料深部の観察
神経細胞は、シナプスと呼ばれる構造で互いに連絡し合い、脳内に神経回路を構成している。しかしその構造は、1マイクロメートル(1000分の1ミリメートル)以下と極めて小さい。従来の光学顕微鏡では詳細な観察が困難であり、近年開発された超解像顕微鏡をもってしても生体試料深部を観察することは困難だった。
理研と金沢大学により構成された共同研究グループは、組織深部の高解像イメージングを実現すべく、生体組織の微細構造を保ったまま透明化する試薬「SeeDB」を改良。今回の「SeeDB2」開発に至った。
精神疾患のメカニズム解明に貢献
「SeeDB2」は、組織深部でも画像がぼけることなく、鮮明な観察を可能にする。マウス脳やショウジョウバエ脳など様々な試料を観察したところ、100μmを超える深部まで高解像画像が得られたという。
同手法は、脳の神経回路図をシナプスレベルで解明する研究に役立つと期待される。また将来的には、精神疾患の病態やメカニズムの解明にも貢献すると考えられている。
(画像はプレスリリースより)
シナプスの微細構造まで鮮明に~高屈折率の改良型透明化液で深部超解像イメージングを実現~ - 科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160311/index.html