振動を低減し快適性向上
日本精工株式会社は、ハイブリッドカー・電気自動車(以下、HV・EV)のトランスミッションなどの駆動部向けに、「次世代クリープフリー軸受」を開発したことを発表した。
この製品は、「クリープ」と呼ばれる軸受のすべり現象に起因する振動の増大を抑制することに成功し、大幅なコスト増大を伴わずに、HV・EVのさらなる快適性向上を実現したもの。
多くのHV・EVでは、省燃費化のため、小型で高速回転型モータが使用されており、モータの高速回転化によって荷重が増大し軸受にクリープが発生しやすい。クリープが発生すると、軸受や外側にある変速機ケースが摩耗し、変速機からの振動が大きくなるという問題があった。
クリープの防止には、軸受をケースに固定すること、外輪外径面にOリングを付けたクリープフリー軸受が有効であるが、軸受をケースに固定する際のコストとケースへの組み付け性、また、Oリングを使用する際の高温の油に対する耐油性の確保が課題となっていた。
これに対し、今回開発した製品は、設計や材質を最適化することで、機械的な固定をせずにクリープの発生を抑制し、軸受のクリープに伴う摩耗によって発生する振動を低減することに成功している。
簡単組み付けでコストアップ抑制
詳細な特長としては、軌道論の剛性を最適化し変形を抑制したことにより、肉厚の増加を必要最小限に抑え、ギヤ荷重によって発生する静止荷重に対する耐クリープ性を向上した。
また、高温耐油性に優れ、へたりにくい材質であるOリング素材を採用することにより、回転荷重に対するクリープ性を大幅に向上。
こうした効果により機械的な固定をせずに耐クリープ性向上が可能となったことで、組み付けが簡単にでき、その結果、生産性の向上とコストアップの抑制を実現したものである。
(画像はプレスリリースより)
日本精工株式会社 プレスリリース
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