効果的な神経再生医療に期待
早稲田大学理工学術院の大島登志男教授、日本学術振興会特別研究員の長井淳氏らから成る研究グループは脊髄損傷における新しい治療標的タンパク質を特定したことを2015年2月5日に発表した。
今回研究グループが特定できたのは、細胞骨格を制御しているタンパク質であるCRMP4という分子。このCRMP4を抑制することによって神経の再生を阻害しているいくつかの因子を同等にブロックすることが可能であると発表したのである。
今回の研究成果の背景とは
これまでも神経再生を阻害する様々な因子が発見されてきたが、これらの多くは他の組織に対しても強い影響を有している。その結果として強い副作用というリスクが問題視されてきた。
しかし、今回特定されたCRMP4については、CRMP4遺伝子欠損マウスを用いて、野生型マウスとその成長を比較したところ、前者は後者と比較しても正常に生育し、行動を観察しても特段異常は見られなかった。
このことから、CRMP4を治療上の標的にした場合であっても、それに伴う副作用は、従来の治療法と比べても少ない点が示唆される。結果として幹細胞を移植する際に幹細胞内のCRMP4を不活性にすることができるならば、より一層効果的な神経系の再生を可能とし、新たな神経再生医療につながると期待されている。
(画像はプレスリリースより)

早稲田大学 ニュース
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