悪性神経膠腫 脳内留置用剤
エーザイ株式会社は2015年9月2日、抗悪性腫瘍剤「ギリアデル脳内留置用剤7.7mg」(一般名:カルムスチン)について、承認条件となっていた全例調査に関し、厚生労働省から解除の通達を受けたと発表した。
「ギリアデル脳内留置用剤7.7mg」は、2012年9月に悪性神経膠腫を効能・効果として承認されたが、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することが承認条件だった。
今回の承認条件解除は、エーザイ株式会社が厚生労働省に提出した安全性及び有効性データに基づいて、承認条件を満たすと判断されたことによる。
悪性神経膠腫
脳腫瘍のうち、脳実質内に存在するグリア細胞由来原発性腫瘍の総称であり、多くは脳内・脊髄内に広がって発育(浸潤)し、腫瘍の境界が不鮮明なため、周辺部では正常脳組織と腫瘍細胞が混在し手術による全摘出が困難で、悪性の神経膠腫の5年生存率は25%以下と予後不良の腫瘍である。
神経膠腫の標準的治療として通常、外科的手術(開頭手術)が行われ、術後に放射線治療や化学療法が行われる場合がほとんどだが、予後悪い理由のひとつとして、化学療法剤の全身投与では、有効成分が腫瘍部位において有効濃度まで十分に到達しない一方、全身的副作用のため十分量の化学療法剤を投与できないことがに挙げられる。
「ギリアデル脳内留置用剤7.7mg」
ニトロソウレア系アルキル化剤であるカルムスチンを生体内分解性のポリマー基剤に含有した国内で唯一の脳内留置用の徐放性製剤である。
悪性神経膠腫の切除術後の残存腫瘍近辺に、留置することにより、術直後から腫瘍細胞に直接、高濃度の抗悪性腫瘍剤を一定期間にわたり効率よく暴露させるため、放射線療法・化学療法などの術後療法開始までの治療空白期を埋められ、残存腫瘍縮小や増殖抑制効果の発揮が期待できる。
エーザイ プレスリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news