「急速ズリ処理システム」で掘削サイクルタイムを短縮
清水建設株式会社は、ズリ処理時間を大幅に短縮できる「急速ズリ処理システム」を開発し実用化した。これにより発破工法による長大山岳トンネル工事の工期短縮が可能となる。
兵庫県で施工中の三谷トンネルに適用したところ、ズリ処理時間を33%、掘削サイクルタイムを11%短縮。
三谷トンネルは、北近畿豊岡自動車道に築く総延長2,810mの道路トンネル。同社の担当する工区は1,515mだが、早期開通に寄与するために工期短縮が必要だった。
ボトルネックのズリ処理時間を短縮
発破工法による山岳トンネル工事では、装薬孔の削孔、装薬・発破、ズリ処理・搬送、浮石除去、一次吹付、支保工建込、二次吹付、ロックボルト打設という一連の掘削サイクルの中で、切羽付近のズリ処理時間が約30%を占める。
ズリの坑外搬送にベルトコンベヤを用いる現場では、クラッシャーでズリを破砕するため、発破後にホイールローダで切羽付近のズリを回収し、クラッシャーまで運搬・投入する作業を繰り返す。しかし、クラッシャーの処理能力から、ホイールローダがズリを投入し終えるまでに待ち時間が発生。
クラッシャーは、発破時の飛び石による破損防止のため、切羽から60~100m離れた場所に設置する必要があり、低速走行するホイールローダの往復時間もかかっていた。
急速ズリ処理システムでは、切羽から30m~60m後方の未使用スペースにズリを仮置きできる「ストックヤード」を設置。このストックヤードへのズリの運搬・仮置きとクラッシャーへのズリの運搬・投入を同時並行で行う。仮置きしたズリは、次作業中にクラッシャーに投入・破砕し、ベルトコンベヤで搬出。これにより、ズリ処理時間を大幅に短縮する。
長距離ベルトコンベヤとS-マックシステム
同社は、急速ズリ処理システムのサブシステムとして、事前にズリ処理効果を予測する「効果予測シミュレーションシステム」、重機作業を監視し作業の安全性を確保する「安全管理システム」を併用し、これらの3システムを「S-マックシステム」と総称。
今後、発破工法による長大山岳トンネル案件に、ダンプに比べ騒音や粉塵が少なく、作業の安全性も高くなる「長距離ベルトコンベヤ」と「S-マックシステム」をセットにした技術提案を行い、工事受注を目指す。
(画像はプレスリリースより)
清水建設株式会社 プレスリリース
http://www.shimz.co.jp/