子供独立後に部屋の活用度合いが低下
市場調査やマーケティングなどを行っている矢野経済研究所(東京都中野区)は5日、インターネット形式で7月に実施した60歳以上のシニア層を対象にした住まいに関するアンケートの調査結果を公表した。潜在的需要を含めると、60歳以上のシニア層の4割強で、住み替えを考えていることがわかった。
アンケートは、1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の戸建て住宅(築10年以上)に居住する子供が独立した60~75歳の男女823人を対象に実施した結果をまとめたもの。既に子供が独立しているシニアの住まいに関する意識を明らかにすることで、子供が独立した後の住まいの変化や住み替えの意向、住み替え先の条件などを把握することをねらいとしている。
子供の独立前後で部屋の活用度合いを見てみると、子供の独立前では部屋を「活用しきれていない」と回答したシニア層は3割ちょっとであったが、独立後では8割を超えていることが判明した。
また、現実的には難しいかもしれないが「住み替えも考えたい」といった潜在的な需要を含め、全体の4割強がマイホームの住み替えを希望していることが分かった。その理由として、「家の老朽化」や、子供の独立などで使用されなくなった部屋ができ「家が広すぎる」と感じることや、「バリアフリーの必要性」などが挙げられた。
住み替え先の理想は安・近・短
住み替えに対する潜在需要のうち、現実的に住み替えられないとするシニア層の理由として「新たに購入資金を工面できない」が半数を占め、次に「住み慣れた地域を離れたくない」などの理由が続いた。住み替えの際は、購入資金だけでなく、居住している地域についても重視していることが分かった。
アンケートの結果から、住み替え先の理想は安(安全・安心)、近(駅近・住み慣れた地域)、小(コンパクトな住まい)で、これらの条件を満たすことで、住み替えたいと思っているシニア層の潜在需要を掘り起こす可能性があるということが示された。

矢野経済研究所
http://www.yano.co.jp/press/press.php/001144