卵子減少の条件、体脂肪率とビタミンDが関係か
3日付のNHKの報道によると、順天堂大学を中心としたグループの研究結果から、体脂肪率やビタミンDが不足している女性は、若いうちに卵子の数が減少する傾向が見受けられ、将来、不妊につながる可能性があることが分かったと報じている。
女性の卵子の数は年齢を重ねるごとに減っていくわけだが、減り具合には個人差があり、中には30歳前後でなくなるケースもある。では一体、卵子の数が減っていく条件とは具体的にはどのようなものなのだろうか?
その条件を調べるために行われたのが、同グループが20~30代の女性を対象に、卵子の数を推定できるとされているホルモン値を測定し、生活習慣や食生活など約600項目との関連を調べた研究だ。
その結果、卵子の数が40代と同じくらい少なくなっていると推定された女性は、20代の場合は、体脂肪率の平均がそのほかの女性の平均より4%低く、22.6%となっていたほか、30代の場合では血液中のビタミンDが不足状態だったという。
つまり、20代では脂肪が少ないと、そして、30代ではビタミンDが不足すると、卵巣内の卵子が早く少なくなってしまう可能性が考えられるのだ。アメリカでも同様の研究結果が得られており、体脂肪率とビタミンDの不足が卵子の数に影響を及ぼす可能性は高いと言える。
適度な体重と日光浴が重要
ビタミンDは体内で合成されるという珍しいビタミンで、日光浴(紫外線)によって、コレステロールを材料に作られている。このため、日焼け対策をしっかりしている人ほどビタミンDが不足しがちになってしまうのだ。
これまで、ビタミンDは通常の生活をしていれば、不足することはないと考えられていたが、現代人は日焼け対策や偏食などの影響により、日常生活の中でビタミンDを摂取することが困難な状態となっている。ビタミンDは妊娠時に不足すると、胎児の骨の生育に影響が出るとも言われており、積極的に取りたい栄養素の一つと言えよう。
同大学の佐藤雄一医師は、
「若い女性は綺麗になりたいと痩せようとしたり、美白を求める傾向が強い。将来の不妊を避けるためには適度な体重を保ち、毎日短時間でも日光を浴びる事が大切だ」(-NHKニュースより)
と述べている。
今後ビタミンDと体脂肪が卵子減少にどのように関わっているのか因果関係をはっきりさせるため、さらに大規模な調査が行われる予定だ。