研究成果を発表
理化学研究所は、遺伝子変異マウスの実験で、2対のシナプス接着分子群の結合がそれぞれ別の神経回路のシナプス可塑性をコントロールし、脳機能の発達に影響していることを明らかにしたと11月20日に発表した。
情報伝達の過程
学習とは脳の神経系が刺激によって変化する過程であり、その起こった変化を保つことが記憶だ。この過程は神経回路のシナプスで起こっている。
シナプスは軸索と樹状突起からなる。軸索からシナプス間隙へ伝達物質を出し、樹状突起が受け取る。シナプスは刺激によって変化し、その変化することをシナプスの可塑性という。
これまでの研究結果
研究チームは、これまでの研究で膜タンパク質の存在を発見していた。しかし、これらが神経細胞の中で情報を受け取る場所を決定してしていることまではわかっていたが、詳しい役割は不明だった。
新たな発見
今回の実験では、遺伝子欠損マウスをつくり、記憶を司る部位である海馬を観察した。その結果、ネトリンG1とネトリンG2 が、それぞれ別々の神経回路のシナプス前膜に集まり、およびNGL1とNGL2がネトリンG1とネトリンG2にそれぞれ対応したシナプス後膜に集まることを発見した。
これらの結果は、G1とNGL1、G2とNGL2の関係が、脳の構造に関わる神経回路の機能に様々な可能性があることを示す。
この発見は、ヒトの脳において統合的な精神機能がどのように発達してきたのか理解することにつながる。さらなるメカニズムの解明が進むことで、様々な精神疾患の原因を解明し、新たな治療法を発見することができるかもしれない。
(画像はプレスリリースより)

理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20141120_1/digest/