中国の漢民族の研究で判明
2014年11月20日、SCIENTIFIC REPORTSにオンライン版で公開された文献では、恋愛力は5-HT1A geneの多型性が恋愛力に大きな影響を与えていることを明らかにしている。
今まで行われた社会学的な調査や心理学的な研究によって、恋愛力には経済力、見た目、人間的な魅力といった遺伝とは関係のない要素が重要であるとされてきた。
動物の求愛行動の研究では、脳のセロトニン濃度が重要な役割を果たしていることが明らかになっている。
セロトニンは5-HT1A受容体という受容体と結びついてその効果を発揮することが判明している。
研究内容
5-HT1A受容体遺伝子には遺伝的な多型が存在することが知られていることから、その変異と恋愛力の関係について検討を行った。
対象は579名の中国人(漢民族)の学生。
5-HT1A受容体遺伝子の変異にはCC、CG、GGの3種類がある。CCである人が一番多い。
全体として恋愛ができている人は46.1%であったが、CCでは50.4%、CG38.9%、GG39.4%であった。GGである人は33人と少ないので、解析はCCとCG+CCで実施。
解析結果は5-HT1A受容体遺伝子の変異恋愛できないリスクがCCに比べてオッズ比が1.59(95%信頼区間1.13~2.24)となり、カイ二乗検定では有意差があった(p=0.008)。
親の教育レベル、親の職業、家庭の収入、月々の支出、身長、BMI、進行している宗教、両親との関係性、うつ傾向を因子したロジステック回帰分析を行い、非遺伝子性要因との5-HT1A受容体遺伝子の変異の関係を調べた結果、遺伝子変異は有意に恋愛力に影響を与えていることが分かった。
考察
今回の結果はCGあるいはGG変異を持つ人は神経質であり、大うつ病や境界性人格障害を起こすリスクが高いという過去の研究を恋愛力という視点で見た可能性があり、その精度は高いと考えているとのこと。
ただし、中国人で漢民族かつ学生という限られた条件での研究であることから、CGあるいはGG変異を持つ人が恋愛力が弱いという結論を出すためには更に研究が必要である。
(画像はイメージです)
【参考】
・SCIENTIFIC REPORTS 文献
http://www.nature.com/srep/2014/141120/srep07049/full/