厳重なセキュリティだったはずが
セキュリティをどれほど厳重にして守っても、運用する人間のせいで、結局は盗まれてしまう。こんな実験結果をオランダのTwente大学が発表した。
たった60回のトライで30台のPCが
実験では、大学の職員に対して30台のノートパソコンが貸与された。また職員には、「パソコンはチェーンで机につなぎ、パスワードロックをかけ、退出するときには必ずドアに鍵をかけるよう指導がなされた。
一方、学生には社会的な実験として、職員のパソコンを盗む課題が与えられた。
学生たちは「専門的な技術者のふりをする」、「嘘をついて管理人や清掃人の協力を得る」などの手法でトライし、60回のトライで、30台のパソコンすべてを盗み出したという。
システムは完全でも人は不完全
職員の中には、厳重に指示されたにもかかわらず、部屋のドアに鍵をかけ忘れたものもいた。
実験の結果、どれほど完全なシステムを構築しても、運用する人間が不完全である以上、完全には作動しないことが明らかになった。
そういえば、日本でも大金をつぎ込んで構築した、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI(スピーディ)」が、福島第1原発事故の際には、まったくなんの役にも立たなかった。
運用する人間が「情報を秘匿する」という、システム構築時には考えもおよばなかった、まさかの行動に走ったためだ。
原子力発電所の「安全性」を考えるにあたっても、ぜひ教訓にしてほしい実験結果だ。

◆University of Twente
http://www.utwente.nl/en/archive/2012/02/stealing_for_science.doc/