近年急増中のアレルギー罹患率。低下に効果があると思われていたが・・・
n-3系(ω3)長鎖多価不飽和脂肪酸(n3-LCPUFA、以下n-3系脂肪酸)を妊娠中の女性が摂取することが、生まれた子供のIgE関連アレルギー全般のリスクの低下と関連しないことが、オーストラリアで行われた無作為化試験で明らかになった。ただし、卵アレルギーの発症率低下には効果があるようだった。
先進国では過去30年間でアレルギー患者が増加し、今では20%以上の人がアレルギーを発症している。食生活の変化も含めた環境変化がアレルギー罹患率急増の主な原因と考えられている。
調査の結果、目立った効果なし
一方、妊婦がn-3系脂肪酸を多く摂取するとIgE関連アレルギー疾患の発生が減る可能性あるといわれていた。そこで著者らは、n-3系脂肪酸を投与した妊婦と偽薬を投与した妊婦のから生まれた子供の、生後1年時点での湿疹または食物アレルギーの罹患率を調べることにした。
調査は母親自身、父親、兄弟のいずれかがアレルギー疾患(喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹)と診断されており、遺伝的にアレルギー疾患リスクが高い胎児(単生児)を妊娠している妊婦を2つのグループにわけ、それぞれに妊娠21週から出産までn-3系脂肪酸または偽薬を投与する方法で行われた。投与されたn-3系脂肪酸は魚油カプセル(n-3系脂肪酸の1日摂取量は900mg、うち800mgがドコサヘキサエン酸、100mgがエイコサペンタエン酸)。しかし、卵を除いてIgE関連アレルギー疾患の罹患率に有意な差はみられなかった。
妊婦のω3脂肪酸摂取に乳児のアレルギー減少効果見られず(日経メディカル オンライン)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201202/523660.htmlEffect of n-3 long chain polyunsaturated fatty acid supplementation in pregnancy on infants’ allergies in first year of life: randomised controlled trial(BMJ)
http://www.bmj.com/content/344/bmj.e184