経済産業省は、2012年1月13日、『ソーシャルビジネス・ケースブック 震災復興版( ~被災地の復興に向けたソーシャルビジネス~』を作成し、Webでの公開を開始している。
同ケースブック(事例集)では、東日本大震災の復興に資するソーシャルビジネスの成功モデルとして期待される事例や、ソーシャルビジネスの芽となる事例が中心の構成で、「被災地の生活支援ニーズを解決する」事例や、「被災した事業者向けの新たな資金調達の仕組みを構築した」事例、「新たなビジネスモデルの被災地から全国への波及が期待される」事例など、27事例が紹介されている。
なかでも、長引く避難生活による慢性期医療の需要の高まりや、心のケアの必要性、被災地高齢者の孤立化の問題を解決するため、被災地に訪問診療専門のクリニックを開設した『祐ホームクリニック石巻』のように、じっくり腰を据えて取り組む活動は、増えこそすれ決して途絶えさせてはならない取り組みであり、ブックの中でより詳しく写真と図解入りで紹介されている点は、今後の活動範囲を拡げる意味で有効ではないだろうか。
ちなみに、 「ソーシャルビジネス」とは、環境や貧困問題など様々な社会的課題に向き合い、ビジネスを通じて解決していこうとする活動の総称。
今回の災害における被災地には、二種類ある。地震と津波によるものと、原発事故によるもの。より深刻さを覚えるのは後者であり、まずその話から始めないことには、表向きの復興がすすむ陰で、将来ひいては未来に残る禍根を増やすのではないかという懸念は、決して消えないのだろう。
経済産業省リリース