未納対策に割引を
国民年金保険料の納付率が6割程度にまで落ち込んでいる。
厚生労働省は6日、社会保障審議年金部会に対して、納付率を上げるため、2年分を前納すれば、1万4,340円が割り引かれる新たな支払い方法を提案した。
早ければ2013年4月から
2011年度の国民年金保険料は月額1万5,020円だった。
現在実施されている前払いの割引制度は、1か月分で50円(割引率0.3%)、6か月分で1,020円(同1.1%)、1年分で3,780円(同2.1%)となっている。
いずれも口座振替の場合で、現金での前払いは6か月分、1年分のみ可能で、割引率も小さくなる。
新たに方針が示された2年分の前払い割引制度も、口座振替の場合にのみ適用される。早ければ来年4月から導入される。
抜本的な未納対策は不明のまま
この方針が納付率アップにつながるとは思えない。割引の利用者は、2年分を前払いできるだけの資力を持つ層に限られるからだ。もともと払える層が、割引を利用するに過ぎない。
日本年金機構では、未払いに対する督促業務を民間企業に委託している。
業務の落札に当たっては、優れた企画書を提出した企業を選んだというが、昨年、会計検査院が行った調査では、事前に提出された計画の約4割の件数しか督促業務を行っていないことが判明した。
マニフェストが全滅した民主党政権下で、現在税と社会保障の一体改革が話し合われている。
もらえるかどうか疑わしい年金について、保険料を支払う人が減少し続けるのは、自然なことと言える。
割引や督促業務の努力で解決できる問題ではないが、官僚にできる工夫はこの程度に限定されている。
◆日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/