原発事故で避難の川内村役場4月に帰村
先月31日、福島県川内村の遠藤雄幸村長が「帰村宣言」を発表した。福島第1原発事故の影響で移転していた役場や小中学校などを4月には再開するという。
避難自治体では最初の「宣言」
福島第1原発事故を受け、県内では9つの町村が役場機能を移転した。川内村の宣言は、このうち初めての試みとなった。
原発から20kmの距離にある川内村では、事故後一部が警戒区域に指定された。県の内外に避難した川内村住人は約2,600人と、全住人の約9割にのぼる。
除染活動が進む中、遠藤村長はこういった元住民に対して、「戻れる人から戻る。心配な人は様子をみてから戻る」と呼びかけた。
川内村で2万ベクレルのミミズ
その川内村について、帰村宣言を揺るがす調査結果が発表された。昨年8月~9月に同村で採取されたミミズから2万ベクレル/kgのセシウムが検出されたことが、6日にわかった。
調査を行ったのは、森林総合研究所(茨城県つくば市)の長谷川元洋主任研究員(土壌動物学)ら。
土壌の汚染度が高い地域ほど、ミミズのセシウム汚染も高濃度になることがわかった。
ミミズは鳥やイノシシなどの餌になるため、食物連鎖を通じて、セシウム汚染が蓄積する可能性があるという。
帰村とミミズで高まる除染ビジネスの必然性
川内村では、村内の除染活動が進められている。昨年11月に始められた学校など公共施設の除染は、3月までに完了する。
その後は農地などの除染が行われる予定だが、避難住民の中には、除染の効果を不安視する声も高い。
特に子どもを持つ世帯では、村に帰れるのはまだ先、と考える人が多い。
そんな中、2万ベクレルのミミズが出たとなれば、よりいっそう除染の必要性が意識される。
巨額の予算が組まれた除染ビジネスを仕切るのは、原子力機構(独立行政法人日本原子力研究開発機構)。もんじゅを運営することで知られる、原発利権が集約される団体だ。
専門家の間には、「山林の除染は不可能」、あるいは「無意味」とする声が高い。実際に必要なのは汚染地域から移転することなのだ。
だが移転で原発利権を得るのは難しい。利権のためには除染ビジネスを推し進める必要がある。
帰村宣言直後の「2万ベクレルミミズ」報道を利用すれば、山林除染の必要性を強く訴えることが可能だ。
うがった見方かも知れないが、昨年8月~9月に採取されたミミズについて、あまりにタイミングのいい調査結果発表、と見る向きもある。
◆NHK NEWS
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120204/t10015776321000.html◆川内村
http://www.kawauchimura.jp/