過疎化の村でひっそり暮らす
都市部の若年層のもの、というイメージが強かった「引きこもり」だが、実際には中高年に多く、しかも過疎化が進むような地域で増加している。こんな実態を6日の「Diamond online」が伝えた。
秋田に10人に1人が「引きこもり」の村
秋田県藤里町は山あいにある小さな集落だ。人口3900人。18歳~55歳の人口は1293人だが、同町の社会福祉評議会が実施した調査によると、このうち113人が引きこもり状態だという。
対象年齢の8.74%、ほぼ10人に1人が引きこもり、という現状が明らかになった。
同社会福祉評議会では「引きこもり」の定義を「不就労期間がおおむね2年以上である」「家族以外の人との交流や外出の機会がほとんどない」という条件にあてはまる人としている。
さらに113人いる引きこもりのうち半数近い52人が40歳以上であり、地方の中高年層に引きこもりが増加している現状が見てとれる。
政府の調査ではこぼれ落ちる中高年
2010年には厚生労働省が全国を対象に行った引きこもりの実態調査について、結果を発表した。
それによると20歳~49歳までの対象者1660人のうち、引きこもり経験者は1.2%だった。藤里町の8.74%はこれに比べ、かなり多い。
同年に内閣府が行った同様の調査では、対象年齢を39歳までと限った。中高年の引きこもりにくわしいNPO団体では、こういった年齢制限により、引きこもりの実態が的確に把握されていない、と指摘する。
内閣府では2010年の調査で、引きこもりの数を69万6,000人と推計した。中高年層を加えれば、さらに増加することが予想される。
原因は仕事関係
地方で引きこもる中高年者が社会とのつながりを断った原因は、仕事関係の行き詰まりが多い。
政府の調査でも「職場になじめなかった」「就職活動がうまくいかなかった」が、全体の約2割を占めた。
地方ではさらに、こういった要因により都会からUターンしてきた若者が引きこもり、長期化するケースが多いという。
◆DIAMOND online
http://diamond.jp/articles/-/15543◆若者の意識に関する調査
ひきこもりに関する実態調査報告書(概要版)
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/pdf/gaiyo.pdf