原子力被害応急対策基金の使い道が決定
福島第1原発事故による被害対策として創設される「原子力被害応急対策基金」863億円について、使い道の全容が明らかになった。
批判を浴びた「福島県内でのみ使用可能な商品券」の他、自主避難者に対しては片道分の旅費が支給される予定。
カバーされるのは帰宅旅費のみ
福島県によると、東日本大震災および福島第1原発事故のため県外に避難した福島県民は6万1,659人にのぼる。
その多くを占める自主避難者に対して、帰宅に要する交通費を「原子力被害応急対策基金」から支出する方針だという。
放射性汚染物質による健康被害を恐れ、母子が県外に避難し、仕事を持つ父親が県内に残るケースが多いため、こういった世帯の負担を軽減する狙いがある。
ただ、まかなわれるのは片道分の旅費のみであり、再び県外に戻る分は支給されない。
県外避難はあらゆる手段で阻止
「県内のみで使用できる商品券の支給」や「片道のみの旅費支給」など、福島県の原発被害者対策は、県外流出阻止を最大の目的としているように見える。
12月2日には毎日新聞が、借り上げ住宅の新規募集を停止するよう、福島県から各都道府県に対して要請が出された、と報じた。
この制度は各都道府県が賃貸住宅を借り上げ、福島県などからの避難者に住宅を提供するもの。必要な費用は福島県を通じて国に請求され、国費でまかなわれる。
福島県では、12月末以降、新規の借り上げ募集をしないよう、全国46都道府県に対して要請した。
新年度からの引っ越しを予定していた自主避難者などからは、門戸を閉ざす行為について、怒りと非難の声が集まっている。
◆福島民報
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147◆毎日.jp
http://mainichi.jp/select/today/archive/news/2011/12/02/20111202k0000e040173000c.html