どこに作るか、具体案は未定のまま
政府はこのほど、東京電力福島第1原発事故により汚染された地域を除染する際に発生する汚染土壌や廃棄物の中間貯蔵施設を福島県内に建設する方針を示した。
3年後をめどに運用を開始し、貯蔵期間は30年以内としているが、具体的な用地や規模は決まっていない。
膨大な汚染土・廃棄物
除染の対象となるのは、年間被ばく量が1ミリシーベルトを超える地域。
福島第1原発から半径20km以内は「警戒区域」、事故発生からの年間積算被ばく量が20ミリシーベルトに達する恐れがある地域は「計画避難区域」に指定されている。
これらの地域は「除染特別地域」として、国が除染活動を行う。それ以外の地域については、国が費用を出すものの、除染活動を行うのは自治体だ。
環境省の試算によると、除染によって発生する土壌や廃棄物は福島県で3100万立方メートル。東京ドーム25個分になる。専門家の中には、この試算すら低すぎる、と見る声もある。
福島県以外の汚染土壌、廃棄物は、各都道府県で既存の管理型処分場などを利用して処分される予定。
汚染物処理場と米軍基地問題は同じ
政府は福島県内に中間貯蔵施設を建設する方針を説明するにあたって、「最終処分場は県外に設置する」と約束した。
ただ、設置する「他県」について具体的な案はない。「最低でも県外」を約束した鳩山元首相の「米軍基地移転問題」と酷似している。
東京大学の児玉教授は、汚染がひどい地域について、「避難している人たちは生きている間には戻れない」と語った。
この状況下で最良の策は、住民から土地を借り上げて賃料を支払いながら、最終処分場にすることではないだろうか。
その場しのぎの甘言に終始してきた民主党政権に望むべくもないが、故郷を失う人たちに対する「情」に見切りをつけ、「理」に基づく判断が求められる。
◆現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/29336◆福島県ホームページ
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/