米予防医学作業部会が発表
前立腺がんのマーカー検査は不利益が大きいため推奨しない。米、予防医学作業部会が21日、こんな最終報告書を提出した。
血液中のタンパク質を検査
前立腺のマーカー検査は、PSAと呼ばれるタンパク質の有無や濃度によって、前立腺がんの疑いを判定するもの。
PSAは精子が体外に放出される際、精液のゼリー化成分を分解して、精子の運動を高めるはたらきを持つ。血液中に存在することはまれだが、前立腺肥大や前立腺がんがあると、これが検出される。
利益より大きい不利益
ただこの検査では、進行が早く死にいたるものか、進行が遅く命に別状のないものか、前立腺がんの性質までは特定できない。
このため、検査で前立腺がんが見つかったことで、本来は不要な手術などの治療をおこない、勃起不全や尿漏れなどの後遺症に苦しむケースもあるという。
こういった不利益と早期発見による利益を比較した結果、予防医学作業会は2008年、「75歳以上の男性には推奨しない」との結果を報告した。
今回の報告では、この年齢条件が取り払われ、全年齢層に対しても「推奨できない」としている。
日本では意見が対立
日本では、PSA検査を推奨する日本泌尿器科学会と推奨しない厚生労働省の見解が対立する。厚生労働省では、具体的証拠にとぼしく効果を証明できないことから、推奨しない、とする立場をとっており、東京都などはこれを受け、区によって対応が分かれる。
◆U.S. Preventive Services Task Force
http://www.ahrq.gov/clinic/uspstfix.htm◆CNN
http://www.cnn.co.jp/usa/30006679.html?ref=ng