アンケート調査で判明
橋下市長就任以来、市政の刷新が続く大阪市では全職員に対して、入れ墨の有無をたずねるアンケートを実施している。このたび発表された環境局のデータによると、全職員3,200人のうち、約50人が「入れ墨をしている」と回答した。
入れ墨入りのゴミ収集職員
多くの自治体で清掃局の職員には、被差別地域出身者を雇い入れることが多い。しばしば就職差別を受ける同地域出身者に対して、雇用対策としてとられてきた政策だ。
しかしながら「問題のある人材でも被差別地域出身者であれば優先的に雇用される」ことから、甘えを生む温床となっている。
入れ墨入りの「人材」でも雇用され、また雇用後に入れても解雇されない。こういった「伝統」が大阪市の環境局には受け継がれてきたのだ。
大阪市政にはびこる闇の深さ
大阪市環境局では2010年5月以降、「タトゥーまたはこれに類するものをしてはならない」とする内規を定めた。
今回のアンケート結果について、橋下市長は「タトゥー(入れ墨)が絶対的に悪とは言わないが、税金で運営されている組織では許されない。原則は消してもらう」とコメント。断固たる姿勢を示した。
そもそも入れ墨は、反社会的な組織で愛好されるなど、自身がアウトサイダーであることを示す意味合いが強い。
反社会的な組織で構成員が入れる場合には、上位の「兄貴分」より先に入れることはタブーであり、兄貴分が輪郭線を入れると下位はそれにならい、色を付けるとそれにならう風習がある。
アウトサイダーの象徴であり、そもそも入れ墨がありながら公務員になれる、あるいはなろうと考える地域は少ない。大阪市環境局で許されてきたのは、組織が抱える闇の深さゆえである。
清掃局の仕事は、短時間で終わるため、午後からは勤務時間中にもかかわらずパチンコに出かける。短時間労働でありながら、平均年収は700万円弱という高収入が維持されている。
「独裁者」への期待
橋下市長就任前から、こういった清掃局の業務について、「民営化されるのでは」とのうわさがあった。
今回のアンケート調査を見ても、「公」が人材を抱えて行うべき仕事とは思えない。橋下市長は「入れ墨を消さない場合には分限免職もありうる」と語る。今後は、民営化も視野に入れた再編が進むものと思われる。
マスコミからは「独裁者」とも評価される同市長だが、少なくともこれまで歴代市長が目をつぶってきた「闇」に光を当て、打ち払おうとする「独裁者」であることは事実だ。
◆大阪市環境局
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