地震、津波、テロに加え暴力団
政府が「安全」として再開を急ぐ大飯原発には、地震や津波、テロなどへの対策が十分に議論されておらず危険、とする声が高い。加えて、大飯原発には九州の武闘派暴力団が入り込んでおり、人材面がもたらす危険性についても、解決されたとはいいがたい。
暴力団関連企業が「人材派遣」
福島第1原発でも再三指摘されているが、原発作業員には、暴力団によって派遣された人が少なくない。
今年1月12日、福井県警捜査2課、組織犯罪対策課と福岡県警の合同捜査本部は職業安定法違反などの疑いで、指定暴力団工藤会の系列企業、「総進工業(現ドリーム)」の役員、池上加奈枝容疑者(36)を逮捕した。
池上容疑者は指定暴力団工藤會の系列である池神組組長の妻である。
同容疑では、関西電力大飯原発の改修工事を請け負っていた「太平電業」福井地区営業所長、一瀬秀夫容疑者(58)と「高田機工」役員、富田好容疑者(59)も逮捕されている。
太平電業は下請けの高田機工と建築請負契約を結んだかのように偽装。2010年3月~9月、高田機工を通じて派遣された総進工業の社員7名を自社の指揮下で働かせていた。
調べに対して太平電業側は、「昔から同じようにして人を集めてきた」と供述している。
相次ぐミスの原因は人材面に
今年3月には、青森県下北郡にある東通原発で、非常用ディーゼル発電機の燃料漏れ防止パッキングが裏返しに取り付けられる、というミスが発生した。
電源喪失という致命的な事故を招く危険性が高いミスだが、犯したのは作業を直接請け負った会社の社員ではなく、ひ孫請けにあたる企業の作業員だったという。
大飯原発再稼働にあたり、電源喪失などに備えた設備をどれほど充実させようと、実際に整備や操作にあたる人材の質が確保されていない限り、安全とはとうていいえない。
暴力団の影響は払拭されたか?
1月の逮捕以降、大飯原発の作業員集めがどう変わったか、具体的な報告はない。
工藤會は武闘派の暴力団として知られており、関係を絶とうとした一般企業や飲食店に手榴弾を投擲するなどの活動で悪名が高い。
昨年3月に九州電力会長宅の車庫が手榴弾で爆破された事件も、工藤會の犯行とみられている。
こういった暴力団とすんなり手を切ることができたのか、少なくとも原子力安全・保安院が示す「安全評価」の中には含まれておらず、人材面の改善は闇の中だ。
◆工藤會
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