切符の窓口販売減で毎月赤字
JR西日本が導入しているICカード「ICOCA(イコカ)」の普及が意外なところへ影響を与えています。それは、JR呉線新広駅(広島県呉市)で切符の窓口販売を受託している障害者施設「若椿作業所」。切符の窓口販売による手数料収入を通所者らの賃金にあてていましたが、イコカ導入により売り上げが激減、このままでは業務の継続は難しいとのことです。
困っているのは作業所だけじゃない複雑さ
中国新聞の報道によると、同作業所は無人駅である同駅の駅舎に入居しており、JR西日本広島支社から委託を受けて窓口販売の売り上げの5%を手数料収入として得ています。04年ごろは月30万円余りの収入があり、指導係2人の賃金計約25万円を差し引いた残りを販売に当たる通所者の賃金にあてていました。ところがJR西日本が広島エリアでイコカを導入した07年から窓口販売が減ってしまいまい、今では作業所の手数料収入は月約15万円へ半減、毎月約10万円の赤字となっています。中国新聞によれば、作業所の稲葉真由美所長(56)は
「作業所の誇れる特色だったが…」
と残念がっています。
しかし同作業所が切符販売をやめると実はJRも困ってしまいます。というのも同駅は無人駅ですが1日乗客数は約3600人と多く、同作業所の委託をやめるなら有人化や駅舎改修などが必要になります。しかし有人化はコストがかさむほか、駅舎などは市の所有になっているため改修は容易ではありません。中国新聞によると、JR西日本広島支社は今後の対応について
「呉市や作業所の意向を確認した上で検討したい」
とコメントしています。
イコカ普及で切符販売困った(中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201203050125.html若椿作業所(社会福祉法人ふれんず)
http://www.furenz.or.jp/CCP010.htmlJR西日本
http://www.westjr.co.jp/