石綿被害による中皮腫を発症課程で鉄過剰
8月4日、名古屋大大学院医学系研究科で、生体反応病理学を専門とする豊国伸哉教授らが、
「アスベスト(石綿)によって中皮腫を発症する過程で、体内で鉄が過剰な状態になっていること」
を発見し、英病理学会誌の電子版に発表した。
アスベストとは
アスベストとは、天然の鉱物繊維で、「せきめん」「いしわた」とも呼ばれている。
とても細い繊維で、熱や摩擦、酸やアルカリにも強くて、丈夫で変形もしにくいということから、様々な工業製品に使用されてきた。
しかし、石綿は肺がんや悪性中皮腫を発症する発がん性や、アスベスト肺、良性石綿胸膜炎、びまん性胸膜炎、胸膜肥厚などの健康被害が問題となり、現在では、原則として製造・使用等が禁止されている。
悪性中皮腫の予防法開発に期待
アスベストの被害として最も有名なのは悪性中皮腫であるが、治療法はまだ確立されておらず、早期発見でない限り治癒することは難しいのが現状だ。
しかし今回の発見で、過剰な状態になった鉄を取り除くことができれば、悪性中皮腫の予防法を開発につながるのではないかと期待されている。
名古屋大学
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical/dbps_data/_material_/nu_medical/_res/topix/2012/CHRYSOTILE.pdf英病理学会誌 電子版
http://www.pathsoc.org/