じわじわ進む「産地誤魔化し」
福島原発事故の影響は、現在までさまざまな農産物で見られている。いわゆる「風評被害」も広がっており、東北や北関東を産地として記載した農産物や海産物を避ける人も多い。
このためスーパーなど物販の最前線では、苦肉の策とも言える「産地誤魔化し」が増加。これまでは水揚げ漁港の名前が記されていた魚を「太平洋産」と表示する例もある。
8月10日現在、基準値をオーバーする魚は見つかっていないが、小さな魚からそれを食べる大きな魚へと、徐々に汚染物が濃縮されていく生物濃縮を考慮すると、今後カツオやマグロといった大型の魚では「基準値」を超えた汚染が見つかる可能性も高い。
心配されるお茶、乳製品、レトルト・冷凍食品
さらに心配されるのが加工食品だ。原材料の産地を表示する義務がないため、消費者には選択する手段がない。
たとえば、ペットボトル飲料として販売されているお茶の場合、茶葉の汚染が懸念される。基準値を設け、これを超えないものだけが出荷されることになっているが、そもそも基準値が決定される経緯も「政治的」なものだった。
さらに伊藤園などは福島に工場を持ち、地下水を利用している。水と茶葉、それぞれが基準値以下でも、それぞれが合わさった製品段階ではどうなのか。伊藤園では、「個々の製品を検査する予定はない」としている。
牛乳を加工して作られるバターやチーズ、牛肉を加工するレトルトカレーや冷凍のハンバーグなども、原材料の産地は不明だ。
低レベル汚染が継続される影響について、研究が少ないため、たとえ基準値以下であっても危険、と警告する小児科医もいる。
食品汚染は何十年も続く
チェルノブイリ事故から25年が経過したが、ドイツでは現在も、600ベクレル/kgという高いレベルで放射能汚染されたイノシシが捕獲されている。
この数値は日本で販売禁止とされる牛肉の基準値500ベクレル/kgより高い。
◆現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/14791◆ドイツ ニュースダイジェスト
http://www.newsdigest.de/newsde/content/view/3237/67/