従来の「4大疾病」から精神疾患を追加した「5大疾病」へ
厚生労働省(以下:厚労省)は6日、「4大疾病」として医療対策に重点的に取り組んできたがん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新たに精神疾患を追加して「5大疾病」とする方針を社会保障審議会医療部会に報告し、了承されたと発表した。これをもとに、各都道府県は地域医療の基本方針となる医療計画を作成することになる。
精神疾患増加はまさに「現代社会のゆがみの象徴」
近年、パワハラやいじめなど職場におけるうつ病の増加や、高齢化によるアルツハイマー患者の増加など、精神疾患は今や国民の誰もが無関心ではいられない病(やまい)となっている。
厚労省によると、精神疾患の患者は年々増加し続けており、2008年度には323万人に達している。これは従来より対策が講じられてきた4大疾病の患者数をはるかに上回っている。
また、年間約3万人に上る自殺者の9割は何らかの精神疾患を抱えていた可能性があるとされており、2009年に糖尿病で死亡した1万4,000人の2倍に達している。
精神疾患も「がん」や「脳卒中」と同じような医療体制が必要とされる時代へ
こうした患者数の増加や深刻な症状の多さから、厚労省は早急な対策強化が必要と判断。精神疾患を医療計画に記載すべき疾病に追加し、症状に応じて、地域の精神科診療所と入院治療を行う病院などの機能分担や連携を推進し、態勢の整備を進める方針だ。
厚生労働省ホームページ4疾病5事業について -第19回社会保障審議会医療部会資料より-