最高裁、混合診療の禁止は適法と判断
健康保険が使える保険診療と、健康保険が使えず全額自己負担となる自由診療とを併せた混合診療を受診すると、治療費全額が自己負担となる。そのため、国は混合診療を原則禁止としているが、混合診療を全額負担とする厚生労働省の運用の是非をめぐって裁判所で争われていた。
2011年10月25日、最高裁判所は混合診療の禁止は適法という判断を初めて示した。そして、保険診療分については保険が使えるよう求めていた患者側の敗訴が確定した。
この最高裁判所の判決は、小法廷で行われたため、裁判官は5人であった。5人全員一致で上記判決を示した。しかしその一方で、混合診療禁止の原則の是非が問われる場面を減少させるために運用改善を求める補足意見が3人の裁判官から出された。
事件の概要
混合診療を受けた患者が、治療費全体を自費にするのではなく、保険診療の分は保険が使えるように求め、裁判を起こした。
これに対して、2007年に東京地方裁判所は患者側の請求を認めた。しかし2009年に東京高等裁判所は患者側の請求を認めず、患者側が敗訴した。
治療の選択権の問題と、安全面や医療格差の拡大の問題とで混合診察をめぐって意見の対立があったため、今回の最高裁判所の判決は非常に注目を浴びていた。
最高裁判所の見解が明確になったが、3人の裁判官が指摘されている運用の問題を早急に解決していただきたいものだ。
最高裁判所
http://www.courts.go.jp/saikosai/