映画の恐怖が株式投資に影響する
「パラノーマルアクティビティ」などのホラー映画を見た人は、株式投資において保有株を早く売ってしまう傾向にある。
こんな研究結果をこのほど米カリフォルニア大学バークレー校の准教授Eduardo Andrade氏らが発表した。
自分が恐いのだから、他の人も恐いはず
人は自分の精神状態を元に、他人の精神状態を類推する傾向があるという。社会的投影と呼ばれるものだが、今回の実験では、映画によって恐怖を感じた投資家が、他の投資家も恐怖を感じ、株を売りたがっていると判断して、保有株を売却してしまったという。
実験では、ホラー映画を見せた被験者と画家ゴッホなどのドキュメンタリー映画を見た被験者に株式投資のシミュレーションゲームをさせた。
ホラー映画を観た被験者には、ドキュメンタリーを観た人より早く株を売る傾向が見られた。
ただしこの傾向が見られたのは、株価の動きが他人の動向に影響される、と告げた場合だけであり、株価がコンピューターによってランダムに動く、と告げられた被験者は、特に株を早く売ることはなかったそうだ。
それでも見てしまうホラー映画
株式投資にまで影響してしまうのは、ホラー映画の与える恐怖がそれだけ大きいことを意味する。
にもかかわらず米国では毎年5億ドル程度がホラー映画のために支出されている。
この原因について、フィンランドのタンペレ大学の神経科学者、Allan Kalueff氏は恐怖感を処理する脳の部位と快感を処理する部位は重なる部分が多いため、と説明する。
恐怖感は脳の小脳扁桃で処理されるが、この部位は快感や愛をつかさどる部位でもある。

◆NIKKEI いきいき健康
http://health.nikkei.co.jp/hsn/index.aspx?id=MMHEb1001017112011