歯科医師が神戸で募金活動
歯科医らで作る『保険でより良い歯科医療を』、兵庫連絡会が募金活動を開始した。東日本大震災被災者に歯ブラシを送るため、という。
避難所などでは多くの物資が不足しているが、歯ブラシもその一つである。たかが歯ブラシ、と思われるかもしれないが、口内に雑菌が繁殖することで、誤嚥(ごえん)性肺炎を招く危険性もある。
4月17日には、神戸市内で救援活動の報告や街頭での募金活動も行う。
歯周病がもたらす? 肺炎・心臓病・糖尿病
歯磨きなどのケアで、全身的な健康が保たれることは、近年知られてきた。2008年に秋田看護福祉大学の佐々木英忠学長が発表している論文によると、口腔内の健康状態は、全身の健康状態に密接に結びついている、とされている。
食べ物などが肺に入ることで起きる誤嚥性肺炎は、口腔ケアをすることで、40%下がるという。また、歯磨きには心疾患や糖尿病などのリスクを提げる効果もあり、高齢者が多い避難所では、歯ブラシは生存率に関わるアイテムと言える。
避難所でも広がる歯磨きの大切さ
こういった歯磨きへの認識は、避難所でも広がりつつある。各地の医師会や自治体を通じて、歯磨きが送られており、地元歯科医師による「歯磨き指導」も避難所で行われている。
1995年に発生した阪神大震災では、震災関連死922人のうち、223人が肺炎で死亡したという。神戸常盤大短期大学部口腔保健学科の足立教授は、「恐らく、多くは誤嚥性肺炎。口腔ケアをすることで半数の人は助かったのではないか」と分析している。
223人のうち約半数が助かっていれば、震災関連死は1割以上減らせたことになる。
著:ハッピーライフエンド編集長 谷垣吉彦◆産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/life/news/110407/trd11040707540002-n3.htm◆佐々木英忠学長レポート http://www.fihs.org/volume8_1/article1.pdf