タッチモニター活用して意思伝達を
宮崎県立清武(きよたけ)せいりゅう支援学校(宮崎県宮崎市)元教諭の松田氏は、パソコン画面に触れる「タッチモニター」を使って絵カードの使い方を理解させる指導方法を考案し、障がい者の意思伝達に成果を上げている。
「目で見て理解する」絵カード
絵カードとは、言葉での意思疎通が難しい障がい者が使うコミュニケーション支援ツールのひとつ。最も初歩的なツールであり、自閉症や重度の知的障がい者にとって有効である。
食べ物や日用品、日常動作や場所など実生活に密着したイラストが描かれており、それを示すことで自分の意思を伝える手段として、全国の特別支援学校の現場や重度障がいを持つ子どもの家庭では欠かせないツールである。しかし、イラストと現物の関係性を理解できない子どもも多くいる。
夜間大学院に通い、教授と研究を重ねてようやく完成
松田氏はそのような子どもたちと何とかコミュニケーションを取りたいと、2007年から宮崎大学夜間大学院に通い、安東教授(臨床心理学)と研究を進めた。
触ると画面が変わるタッチモニターに着目し、パソコンを使って、画面に触れば好きなアニメが表示されるプログラムを開発。モニターがスイッチの役目となり、画面に触れば好きな物が出ると理解させやすいのではないかと考えた。
実際にタッチパネルでの操作を6人の子どもに指導したところ、全員に何らかの効果があったという。重複障がいがある子どもの気持ちを読み取るのは非常に難しいので、練習を通じて心の動きが少しでも見えるのがうれしかったそうだ。
功績が認められ表彰~さらに学会発表へ~
松田氏は指導法を6段階にまとめ、家庭や学校で絵カードが習得できるように工夫。その功績は全国特別支援教育研究会で発表した際に認められ、今年1月、文部科学省優秀教員表彰を受けた。障がいの種別にさらに細かい指導方法をまとめ、今夏、学会で発表する予定だとのこと。
宮崎大学の安東教授は「重複障がい児に対し、これまで絵カードの有効な指導法がなかった。タッチモニターは比較的簡単に導入できるツールで、注目すべき取り組みだ」と評価している。
宮崎県立清武(きよたけ)せいりゅう支援学校<絵カードとは?>絵カードと自閉症や失語症、発達障害