全国初!障がい者の目線に立った移動支援ソフトを開発
耳の聞こえない人でも安心してバスに乗れるようなシステムをスマートフォン「iPhone」を使って、公共交通機関を利用する聴覚障がい者の移動をサポートする移動支援システムが開発された。
スマートフォンの拡張性・汎用性の高さを生かし、障がい者の目線に立った移動支援ソフトを開発するという取り組みは全国初。今後、各公共交通機関での実用化が期待されている。
国交省の委託事業公募に広島大学大学院教授が応募
開発者は、交通工学を専門とする広島大学大学院の藤原教授らのチーム。藤原教授はこれまで「移動」に関するさまざまな社会実験を行うなかで、余暇の外出機会が大変少ない聴覚障がい者でも気軽に出かけられるような支援をしたいと数年前から考えていたという。
そんな折、国土交通省の委託事業の公募があることを知り、藤原教授自ら応募。一般的な公共交通機関のうち、音声案内を主とするバスに着目し、委託事業費400万円を受けて、昨年10月からバス利用に不安を抱えている聴覚障がい者のための支援ソフトを開発に着手していた。
実用化に向けて 今後のさらなる可能性を示唆
仕組みは、iPhoneの専用アプリを起動し、目的地かバス停を選ぶ。衛星利用測位システム(GPS)で所在地が特定され、到着までの時間や料金がわかる仕組みになっており、降りる際に慌ててお金を準備しなくてもすむよう配慮されている。
また、降りるバス停が近づくとバイブレーションが振動し、バス停の名前が表示される。行き先と違うバスに乗ると警告が出る仕組みにもなっている。
藤原教授は、関心のあるバス会社や自治体から手が挙がれば、システムの提供を検討するという。
広島大学大学院 国際協力研究科 交通工学研究室国土交通省