説明会で国交省の専門官が発言
5月18日に開催された「サービス付き高齢者向け住宅整備事業説明会」で、事業参入にはメリットだけでなくデメリットもある、という認識が国交省の専門官から示された。国土交通省住宅局住宅総合整備課の武井専門官が事業者との質疑の中で発言したもの。
これまで問題点も多かった高専賃や高優賃、高円賃を統合し、新たな登録基準を設けた高齢者向け住宅がサービス付き高齢者向け住宅。都道府県などが定めることのできる「高齢者居住安定確保計画」の内容に沿う必要があるが、このルールがまだ策定されていないためだ。
「住宅系」を安定供給するために
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の在宅で生活できる住まいとして創設される。全高齢者における介護施設・高齢者住宅等の定員数は、日本では施設系が3.5%、住宅系が0.9%となっている。英国では施設系3.7%、住宅系8.0%。米国では施設系4.0%、住宅系2.2%。先進各国では、高齢者が自立して生活できる住宅系が日本より多い。
4月に成立した改正高齢者居住安定確保法に基づき創設される「サービス付き高齢者向け住宅」では、最低限のサービスとして2点があげられている。安否確認と生活相談サービスである。
基準を満たす賃貸住宅や有料老人ホームの登録を見込んでいる。税制などの優遇が大きいため、注目する事業者は多いが、先行きには不透明感もぬぐえない。
リスクを承知で早めの登録が必要?
「サービス付き高齢者向け住宅」の登録申請に対し、許認可権を持つのは各自治体である。そのルールが確定しない中、申請を出すことにリスクがあるのは国交省の専門官が認める通りだ。
ただ今回の制度では、競合する業者が乱立して経営に支障をきたさないよう、自治体には総量規制を行う権利が与えられる。早期に登録しておかないと、新規参入できなくなる可能性があるため、頭を悩ませる事業者も多い。
著:ハッピーライフエンド編集長 谷垣吉彦◆サービス付き高齢者住宅の概要