時代を築いた作家の死
「花と蛇」など、官能小説の大家として知られる団鬼六(本名:黒岩幸彦)さんが6日午後2時6分、東京都内の病院で死去した。享年79歳だった。
昨年4月、「小説新潮」誌上で食道がんを公表。「生を満喫するため」と手術を拒否し、放射線治療などを受けていた。
今年4月上旬には、恒例のお花見を開催。屋形船を借り切って、家族や親しい人たちと隅田川でのお花見を楽しんだ。案内状には「この花見が最後になると思います」と記されていた。
波乱の人生を歩んだSM小説の開拓者
滋賀県彦根市に生まれた団氏は、関西学院卒業後英語教師となった。1957年、相場師だった父を描いた小説「親子丼」で文藝春秋オール新人杯で入選。その後、純文学を書くかたわらバー経営なども手がけるが失敗。ポルノ小説を書くようになる。
日本では未開拓だったサディズム・マゾヒズムを描いた小説は人気を博し、代表作「花と蛇」は谷ナオミ、杉本綾、小向美奈子の主演で再三映画化されている。官能を主題に人間を克明に描く手法には、女性ファンも多い。
ペンネームは鬼のような気分で書くこと。昭和6年生まれであることから「鬼六」とつけた。
将棋好きとしても有名
無類の将棋好きだった団氏は、アマ6段の腕を持っていた。将棋専門誌「将棋ジャーナル」の経営が悪化した際には、家を売却して資金を作り、自ら社主をつとめた。
訃報を受け、女流棋士の林葉直子氏などもコメントを寄せている。
著:ハッピーライフエンド 谷垣吉彦
◆団鬼六 公式サイト