汚染物質はヨード、セシウム、ストロンチウム
福島原発では、依然として危機的な状況が続いています。風に乗って多くの放射性物質が飛散していますが、人体に影響を与える危険性が強いのは、ヨード、セシウム、ストロンチウムの3つ。体内被曝することで、重大な被害をもたらします。免疫力の弱い方では、100mSv程度の被爆でも白血病を発症すると言われており注意が必要です。
ヨード対策にコンブは不適?
放射性ヨードの体内被曝を防ぐため、積極的にヨードを摂取するようすすめられています。血中のヨード濃度をあらかじめ上げておくことで、放射性ヨードの取り込みを防げるため。
このブロック効果には、摂取時間により大きな差があります。被爆24時間前では93%。被爆8時間後で40%。被爆24時間後では7%となりますから、汚染の可能性が考えられるなら、なるべく早くに摂取しておくことが大切です。
ヨードの摂取方法として一般的なのは、ヨード剤(ヨウ化カリウム)による摂取。錠剤が手に入らないから、とうがい薬を飲むのはNGです。うがい薬には多量(37%)のアルコール分が含まれており、添加物には消化管を荒らす可能性も指摘されています。
ヨウ素を多く含む乾燥コンブが予防に有効ではないか、との見方があります。実際には成人で1日あたり50g以上を摂取する必要があり、「現実的ではない」とされています。ちなみに、一般的に販売されている乾燥コンブ1袋が50g前後です。
セシウム対策には排出促進剤!
ヨードの半減期が8日程度なのに対し、セシウムの半減期は約30年と長いため、体内に取り込んでしまった場合の被害は大きくなります。体内への取り込みを予防する薬剤はありませんから、取り込んでしまった場合には、排出剤を使用して、腸管からの吸収を抑え、便としての排出を促進させます。
ストロンチウムには有効な薬がない……
同じく健康被害がある、とされているストロンチウムには、吸収を予防する薬も、排出を促進する薬剤もありません。マスクなどで呼気からの取り込みを予防する。汚染された水や食べ物を摂取しない、といった注意が大切です。
編集長 谷垣吉彦
■■ 放射線量の測定結果を公開しているサイト
◆福島県(第一発電所敷地内・大熊町)http://www.pref.fukushima.jp/j/◆文部科学省 都道府県別環境放射能水準調査結果
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303723.htm