常に高い志を持って目標に!
グループ連結売上高が2兆6000億円を超え、社員も約2万人まで増えているソフトバンクだが、「それでも、私はまだまだベンチャー企業だと思っています」と語る孫社長の原点を訊ねた記事が、
週刊ダイヤモンドに載っていたので、紹介したい。
「常に高い志を持って目標に立ち向かって行く、志を持ち続けることが大切。事業における私の信条は、志のない事業は成功しない。さまざまな困難に直面しても頑張り抜くのも高い志だ」という孫社長は、2001年にYahoo!BBで始めたのも、より速く大量の情報を送受信できる新しい通信手段を提供することで、豊かな社会を作ろうとの志からという。
きっかけは『竜馬がゆく』に出会ったこと
15歳のときに司馬遼太郎の『竜馬がゆく』に出会った。地元の高校を中退し、故郷の佐賀を離れて米国に留学する前の年、家庭教師から薦められたのがきっかけという孫社長は、おもしろくて勇気づけられ、その後の人生の転機には必ず『竜馬がゆく』を読み返したといい、出会わなければ、在日韓国人として生まれたこともあり、日銭を稼げる商売として焼き肉店やパチンコ店の経営に携わっていたかもしれないとも。
孫社長はまた、『竜馬がゆく』をこれまでの節目で5回読んだといい、「”世に生を得るは事を成すにあり”という言葉が出てくるが、この”事を成す”とは、どうすれば自分の人生を前向きに生きることができるか、そして世の中に前向きな影響を与えられるか、ということではないかと思っている。一歩でも前に踏み出すことで、それがいずれは大きな“うねり”となり、改革の原動力になる」という。
現在のソフトバンクは、どのような高い志を?
孫社長は今後、ICT※の技術力で、21世紀の人びとのライフスタイルをより豊かなものにしていきたいといい、81年の創業初日からの”
デジタル情報革命を通じて、人々が知恵と知識を共有することを促進し、企業価値の最大化を実現するとともに人類と社会に貢献してゆくことを目指す”という精神は今も変わらないという。
さらに、「産業構造がどのように変わるのか、創業前に一年半かけて考え抜いた。現在のソフトバンクは偶然の産物ではない」ともいうから、最初の計画が肝心ということか。
たまたま今、ソフトバンクは行き詰っていたPHSのウイルコム支援を打ち出したところだが、KDDIとの関係からこの先どんな展開になるか、興味深いものがある。
※ICT:Information and communication technologies
週刊ダイヤモンド特別レポート