一時期、米国では、子供の肥満が話題になっていた。今度は、人間ではなくペットが肥満症や過体重に悩んでいる。
ペットは人間の鏡
米ペット肥満予防協会の年間調査によると、ペットの猫のうち25%、犬のうち21%が肥満だという。つまり、約4,100万匹の犬と4,700万匹の猫が肥満症か過体重である。この数字は2010年から少しずつ増えている。太り過ぎが危険なのは、様々な病気がついて回るからだ。たとえば、高血圧、糖尿病やある種の癌など。肥満により、動物たちの寿命は2年~2年半ほど縮むといわれている。
米食品医薬品局動物薬センターは、協会の調査結果を見て、肥満の動物たちに見られる病気は、不気味なほど人間の症状に似ていると述べている。問題は、飼い主たちが、動物の肥満に気が付かなくなっていることだ。実際には肥満症か過体重なのに、ペットの体重が標準だとしている飼い主が、犬では22%、猫では15%もいた。
5年以上、調査を続けていて、動物たちの肥満傾向は確実に続いている。その原因は、まずペットフードが、以前より栄養分が濃くなっていることが挙げられる。餌の上げ過ぎによって動物たちが太るのだ。そして、あまりにも太ると、今度は運動ができなくなる。運動不足によって肥満に拍車がかかるというわけだ。
ペットを太らせてしまった場合は、個人で奮闘しても難しい。獣医とよく相談して、まずは餌をコントロールして体重を減らし、適度な運動をさせることが必要である。そして、家族の健康を考える時に、人間のダイエットを考えるだけでなく、ペットにも気を配らなければならない。
日本でも一般社団法人日本ペットフード協会の2009年12月の調査によると、自身のペットが「太っている」「やや太っている」と答えた飼い主が全体の約4分の1に上った。人間の高齢化と生活習慣病の問題はペットの問題でもある。米国の例を他山の石として、ペットの肥満にはくれぐれも気を付けたいものだ。
米ペット肥満予防協会ホームページ(英語)米食品医薬品局ホームページ(英語)一般社団法人日本ペットフード協会