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世界初、低濃度アンモニア水から高純度水素を製造し燃料電池発電に成功、木村化工機、澤藤電機、岐阜大学の共同開発
2019年11月19日 株式会社インフォデザイン
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プレスリリース提供元:ValuePress!

アンモニアは化学、食品、発電、半導体など多くの製造業で用いられています。それらの工場から排出されるアンモニア排ガス・排水は、水質汚濁防止法や総量規制制度に準拠して、何らかの方法で処理する必要があります。現在、触媒燃焼法や蒸気式蒸留法が用いられていますが、化石燃料を使用するためCO2や窒素酸化物(NOx)の排出は不可避でした。このたび、木村化工機株式会社(以下「木村化工機」)、澤藤電機株式会社(以下「澤藤電機」)、国立大学法人岐阜大学(工学部 化学・生命工学科 神原信志教授、以下「岐阜大学」)は、ヒートポンプ式蒸留法とプラズマメンブレンリアクター(PMR)水素製造装置(H2 Harmony)および燃料電池発電システムをコンバインドし、低濃度アンモニア水から高純度水素を製造し燃料電池で発電することに成功しました。アンモニア排水を利用して発電するコンセプトは従来からありますが、実証は世界初です。

※写真、図、表は添付のPDFファイルをご参照ください。


【実証試験の成果と見通し】
図1に、流量3ton/h、1wt%のアンモニア回収システムの消費電力を示します。木村化工機のヒートポンプ式蒸留法(消費電力60kW)に澤藤電機のH2 Harmony(水素製造量300NL/h)と燃料電池をコンバインドすると、システム全体の消費電力は11kWにまで減少します(PMR必要本数200本)。H2 Harmonyの水素製造量が500NL/hになると(目標値)、システム全体の消費電力はゼロであるばかりか、17kWの余剰電力が得られます(PMR必要本数120本)。
 
この実証試験データの解析により、以下の見通しがたちました。
1)消費電力およびCO2排出量が約83%減、NOxゼロのアンモニア処理システムの開発
2)安価なCO2フリーアンモニア燃料の製造、および安価なCO2フリー水素の製造
また、H2 Harmonyの性能向上(開発目標達成)により
3)消費電力・CO2排出量ゼロ、NOxゼロのアンモニア処理システムの開発が可能となります。


【実証試験の詳細】
実証試験は2019年11月6日に木村化工機本社敷地内で行われました。
図2は実証試験装置の全体フローです。実証試験では、低濃度アンモニア排水を想定した1wt%のアンモニア水を「ヒートポンプ式省エネ型アンモニア回収装置」(写真1)に供給して、95wt%以上の高濃度アンモニアガスに濃縮し、その一部をH2 Harmony(写真2)に導入して高純度水素を製造し、発電電力1kWの燃料電池(写真3)で発電することに成功しました。アンモニア回収装置の横に取り付けたLEDランプの点灯により、低濃度アンモニア水から高純度水素製造と燃料電池発電の成功を確認しました(写真4)。
この成果は11月20日~22日に幕張メッセで開催される第32回プラントショー(INCHEM TOKYO 2019)で展示します。


【ヒートポンプ式省エネ型アンモニア回収装置】
化学産業分野のエネルギー消費量の約4割を占める蒸留プロセスの省エネは、化学プラント業界のみならず地球温暖化対策の上でも重要な課題です。木村化工機は蒸留プロセスの省エネにおいて、1999年にHIDiC(ハイディック)をベンチプラントで理論実証を行い、2005年にパイロットプラントで商業化へのアプローチを行うなど、トップクラスの実績があります。
図3にヒートポンプ式省エネ型アンモニア回収装置の構成を示します。本回収装置はこれまでに培った経験を活かして大幅な省エネを実現しており、2020年から受注を開始します。
 
<実証試験装置の概要>
・処理量 :3.0m3/hr ・処理液アンモニア濃度 :1~2wt%
・ヒートポンプ加熱出力 :320kW ・ヒートポンプのCOP※1 :7.5
本回収装置の特徴は以下のとおりです。
・ 蒸留プロセスの熱回収・熱利用の高効率化について徹底的に追及しました。通常、1塔で構成される蒸留塔を、第一蒸留塔と第二蒸留塔の2塔に分割すること、従来の蒸留プロセスでは用いられなかった高COPヒートポンプを組み込み、熱交換機を最適に配置することにより、大幅な省エネを実現しました。
・ 高COP汎用ヒートポンプは、木村化工機と神戸製鋼所が共同開発しもので、業界初の高温・高COP仕様の『HEM-HR95-GN』です。50℃~70℃の熱源水から95℃の高温水を最高COP=7.5で回収できます。また、このヒートポンプは環境負荷の低いグリーン冷媒(GWP※2が1以下)であるハイドロフルオロオレフィン(HFO)を使用した環境対応モデルです。
・ 表1は各種のアンモニア水処理方式別に、必要なユーティリティ(燃料,蒸気,電気)の要否、および環境負荷物質排出(CO2,NOx排出)の有無、回収物質の種類についてまとめました。本回収装置単独(表中,ヒートポンプ式蒸留法)でも、化石燃料、蒸気を必要とせず、燃料由来のCO2発生、NOx発生がありません。
・ 本回収装置単独の場合、低濃度アンモニア排水を濃度95%以上のアンモニアガス、またはアンモニア濃度25%の水溶液(安水)として回収することができます。
・ 本回収装置単独のランニングコスト(年間経費)は、一般的な蒸留法に比較して1/6~1/3に低減します(当社比)。
・ 本回収装置にH2 Harmony燃料電池発電システムをコンバインドすると、表1に示したように、ユーティリティ関連のコストは大幅に減少し、環境負荷物質の排出もありません。

※1 COP(Coefficient of Performance)
必要な加熱量を消費電力で除した値。投入した電力1kWあたり得られる熱エネルギーを表した指標で、値が高い程、高効率で省エネであることを表します。
※2:GWP(Global Warming Potential)地球温暖化係数
二酸化炭素を基準にして、他の温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字です。


【H2 Harmony(プラズマメンブレンリアクター水素製造装置)】
水素利用においては、その輸送と貯蔵が課題です。液化アンモニアは、輸送・貯蔵法が確立していること、分子内に炭素を含まないため水素製造時に二酸化炭素を排出しないこと、エネルギー密度が化石燃料並みに高いことから、水素キャリアとして有望な物質です。しかし、アンモニアから燃料電池用の高純度水素を製造することは、これまで非常に困難とされてきました。
2017年3月、澤藤電機と岐阜大学は、プラズマと水素分離膜を組み合わせた「プラズマメンブレンリアクター」を開発し、世界で初めてアンモニアから燃料電池用の高純度水素を得ることに成功しました。以来、水素製造量増加のための改良を重ね(図4)、現在、水素製造量300NL/hに達しています。目標は、水素製造量500NL/hで、これは送電端発電電力700Wが得られる水素量です。
プラズマメンブレンリアクター水素製造装置(H2 Harmony)は、澤藤電機と岐阜大学が共同開発を行っているアンモニアから燃料電池用高純度水素を製造する装置であり、2020年度の商品化を計画しています。
 


■木村化工機株式会社 概要
会社名:木村化工機株式会社

代表者:代表取締役社長 小林 康眞
本社:兵庫県尼崎市杭瀬寺島二丁目1番2号 電話:06-6488-2501(代表)
創業:1924年11月 設立:1950年6月 上場市場:東京証券取引所市場第一部
事業内容:エンジニアリング事業、化工機事業、エネルギー・環境事業
URL:https://www.kcpc.co.jp/


■澤藤電機株式会社 概要
会社名:澤藤電機株式会社

代表者:代表取締役社長 吉川 昭彦
本社:群馬県太田市新田早川町3番地 電話: 0276-56-7111(代表)
設立:1919年5月10日 上場市場:東京証券取引所市場第一部
製造品目:電装品・電子製品、発電機、冷蔵庫
URL:http://www.sawafuji.co.jp/


■神原 信志(かんばら しんじ)教授 プロフィール
国立大学法人岐阜大学 工学部 化学・生命工学科
専門:化学工学、反応工学、燃焼工学、プラズマ応用環境技術、紫外光応用環境技術
研究室URL: http://kambara.main.jp/top/kambara_top.html





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