無精子症の男性に希望
6月28日、シドニー工科大学(オーストラリア)は、プレスリリースにて、人工知能(AI)を活用したツール「SpermSearch」により、非閉塞性無精子症における希少な精子をより迅速かつ正確に特定できると発表した。
AIアルゴリズムでは、精巣内においてより迅速に精子を発見でき、顕微授精に最適な精子をより正確に選別できるという。なお、研究成果は、第39回欧州ヒト生殖医学会「ESHRE2023」(6月25~28日、デンマーク・コペンハーゲン開催)にて報告された。
より迅速かつ正確に
現在、非閉塞性無精子症は精液内に精子が存在しないため、顕微鏡下精巣精子採取術にて精巣から直接、精子を採取する。この方法では、臨床医が手術用顕微鏡を用いて目視で精子を探索し、その後、顕微授精に最適な精子を選別する。
膨大な時間と労力が掛かるうえ、医師と患者の負担が大きい。さらに、探索時間が長くなるほど精子の生存率は下がり、卵子と受精できる可能性は低くなる。
そこで、今回、研究チームは、非閉塞性無精子症の男性7人(36~55歳)を対象に、顕微鏡下精巣精子採取術とAIアルゴリズムにおける精子採取プロセスを比較したところ、AIの活用によって、より迅速かつ正確に精子を採取できることが認められた。
AIアルゴリズムの場合、顕微鏡下精巣精子採取術の1000分の1未満の時間で、顕微鏡下精巣精子採取術より60以上多くの精子を特定できたと報告された。また、精子選別においても、より正確であったという。
(画像はプレスリリースより)
UTS
https://www.uts.edu.au/